食材の鉄分量が減ってきている?
監修: 医学博士 湯本優
普段 食材を買うとき、どんなことを意識していますか?
このページは「食材の栄養素量が減ってきているかも?」がテーマ。2つの気になる記事を紹介しながら、解説していきます。
Section. 1
記事紹介
記事 1
野菜や果物の栄養、数十年前に比べて低下 >
ナショナルジオグラフィック日本版 2022年5月19日公開
記事 2
食品中の鉄分減少などによって貧血が増加している >
ケアネット2021年9月14日公開(提供元:HealthDay News)
どちらの記事もアメリカやオーストラリアなどでの複数の大学や研究機関が発表したデータからの抜粋を掲載していて、この数十年で野菜・果物・穀物・肉 など様々な食材に含まれる栄養素(鉄分・タンパク質・ビタミンなども含む)の減少が確認されているようです。
Section. 2
栄養素が減っている原因
下記の2つが大きな原因だと考えられています。
① 収穫量を増やすことを目的とした農法
農作物の栄養素の多くは土から吸い上げられます。同じ広さの土地でより多くを生産することは、一つ一つの野菜や果物が吸い上げられる栄養素が薄まることに繋がります。
また、高収穫によって土の中の菌がうまく働かなくなり、土壌の健康も損なわれています。
② 大気中の二酸化炭素が増えている
二酸化炭素の吸収が増えると 穀物内の炭水化物割合が高まり、逆に 鉄分・亜鉛・タンパク質・ビタミンBなどが減ってしまうそう。
主に穀物をエサとしている牛・豚・鶏のお肉にも、栄養素減少が確認されています。
Section. 3
日本の現状は?
上記はあくまで海外での研究結果。日本ではまだ大規模な調査は発表されていません。
文部科学省が発表している「日本食品標準成分表」の1950年と2020年の「農作物に含まれる栄養素量」の数値を比較すると多くの栄養素が激減していますが、昔と現代とで分析方法を変えているためそのまま比較はできないようです。
ただ、日本は自給率がとても低いので、野菜や果物は国産を選べても、原料や飼料の多くが海外産であるお肉・加工品・お惣菜・外食などからの間接的な影響は避けられません。
問題の解決のために私たちにできることは少ないかもしれません。でも、せめてこうした情報や可能性を知り、その上で どんな食材を選び、どう健康を維持するかを考えることは大切です。
専門家は サプリでの栄養補給を推奨しています。
知ることで変えられることがある。
リボルは今後も栄養学の視点から様々な情報をお伝えしていきます。応援いただけると嬉しいです。
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医学博士 湯本 優
スポーツメディカルアドバイザー
順天堂大学大学院 医学研究科 博士課程修了。スポーツ医学トレーニング、フィットネス、ニュートリション分野のエキスパート。XTERRAの元日本代表選手。